南房総千倉を表現する味覚空間
知っている人はとても良く知っている、知らない人はその存在さえ知らない。
千倉町は千葉県の南端、長く伸びる海岸に沿った風光明媚で温暖な漁村です。
そんな千倉の漁港のすぐ上、漁師町特有の細い路地の中に「ちどり」という、寿し 割烹店があります。
先々代の青木たけさんが戦後まもなくに創業し、地元の漁師さんたちで賑わった小さな寿司店。
その後、各地の日本料理店にて修行を積んだ先代の青木正孝さん(現在は顧問)が戻り、和食全般を堪能できる「寿し 割烹 ちどり」と改め、慶事 法事の会食や宴会などの利用で地域に根ざす会食処として営業してきました。
大学進学をきっかけに上京した青木大成さんが戻ってきたのが12年前。
音楽活動をしながら都内のバーやナイトクラブで働く一方で、インディーズレーベルを立ち上げたり、ラジオの企画やパーソナリティ、専門学校の非常勤講師などを経験したが、「子どもの頃から見てきたはずの和食店は、いざ働くとなるとまたかなり勝手が違いました。」と大成さんは当時を振り返ります。
不規則な就業時間には慣れていましたが、専門技術や経験が物を言う和食の世界に手を焼いていた大成さんに丁寧に技術を伝えてくれたのが、先代から調理技術を受け継ぎ、現在もちどり本店でつくられる会食料理の全てを手がける調理主任の小泉さん。
「確かに厳しい世界です。入ったばかりの頃は、怒鳴られたりしたこともありましたが、今になると身に染みて理由がわかることばっかりです。」
例えばどんなことですか?
「色々ありますけど、私の仕事はこの地域の人たちが相手ですから、手抜きや失敗はできないんです。子供の頃から知っててお世話になったおじいさんの法事の料理や同級生の子どもの節句の料理で恥かくわけには行かないでしょ。」と小泉さんは話してくれました。
小泉さんは、すぐ近所に同じ年に生まれ、一緒に育ってきた大成さんの幼馴染でもあります。
ようやく和食店の業務に慣れて来た大成さんは、ちどりで働く傍ら趣味であった釣りが高じて小釣り漁や潜水漁を行う兼業漁師にもなりました。
漁場としての千倉の海の豊かさは大成さんをさらに魅了し、南房総の名産食材への興味をかきたてることになります。
そしていつしか「従来の会食処としてのスタイルを守りながら、ちどりの名物料理や南房総の千倉のローカルな食文化を気軽に楽しく堪能できる新しい営業形態を実現したい」と考えるようになりました。
一念発起したのは2年前。
「一念発起と言っていいのかわかりませんけど、自宅兼座敷として購入した旧旅館の建物の雨漏りがひどくなってきて、大がかりな修理になるな…まいったなと思っていたら、解体作業中に柱が腐っているのが発見されちゃって、さらに大ごとになっちゃって、本当に背水の陣ですよ。もうここまで来たらやりたいだけやっちゃうしかないかなって。」と大成さん。
資金繰りや補助金申請の相談に乗ってくれた行政や商工会のみなさん、地元の銀行のみなさん、そして店舗リノベーションにおいては、関わってくれた職人さんのすべてがこのプランに全力で協力してくれました。
こうして2017年4月にリニューアルオープンしたのが「ちどり別館」。
店内に入るとまず目を引くのが、寿し 割烹とは思えないほど様々なお酒を揃えたカウンター。
「都市部にある高級な和食店みたいな商売は、この地域には向いていないと思うんです。もちろん料理のランクを下げたり手を抜いたりする訳じゃないんですが、元々地元にある食材を四季折々に使って、自由度の高い飲食を楽しめるといいな、千倉でしかできない空間を作りたいなと思ったんです。自分がやって来たこととの自然な融合というか、Bar的なお酒はもちろん音楽とかも楽しめちゃう割烹もありなんじゃないかって。千倉の岩牡蠣にアイラ島さながらにウイスキーをたらして食べることもできちゃうんです、面白いでしょ?」
はじめて入ったお客さんは外観とのギャップに驚くのでは?
「うちの伝統的な日本料理、会席料理のスタイルは父と小泉さんでしっかり守ってくれているからできること。やはりメインはあくまでも会食処としての営業ですから、経営的にも調理方法や作法においてもそこは裏切ることはできない部分です。それが地盤にある上で今までにないクリエイティブな表現をするのがこれからのちどりの理想。それを理解して目一杯仕事を楽しんでくれる調理師と一緒に南房総千倉を表現する空間を作り上げたいと思ってます。」
まだ新しい店内を案内しながら大成さんは、さらに続けます。
「まだまだ道のりは遠くて、やり切れてないことが多いし、お客さんが少ない日があったりするけど、きちんと理想を追いかけてやっていけば、他では味わえない良いライフスタイルを築ける確信がありますよ。来てくれるお客さんも地元の面白い人ばっかりで、たまにそこにフリーのお客さんが加わってもう収集つかないくらい盛り上がったりして、退屈とは無縁ですね。」
ちどりから歩いて数分のところにある海岸では、サーフィンや釣りを楽しむ人たちが集っていました。
3月の太陽でも燦々と輝く千倉の海はマリンスポーツを愛して止まない人たちを虜にし、移住へと導く力を持っているそうです。
ちどりには海岸のすぐ近くに小さな一戸建ての社宅があります。
「とりあえずはうちの社宅を利用して遊びに来てくれたら色々とわかると思います。家族連れでも友達連れでもひとりでも冷やかしでも良いですよ、その中の誰かが千倉にハマって、うちにハマって….一緒に働いたり、釣りしたり、子育てしたり、そんな感じですね。」
今ではかなりアクセスが良くなったが、アクアラインが出来るまでは都心まで3時間以上かかったこの地には良い意味で「ガラパゴス的」な独特の空気感と日常があります。
豊かな自然とゆっくりと流れる時間。
千倉にしかないライフスタイルを見つけて育む日々はきっと何事にも代え難いものになるはずです。
(2018/3/13 青木大成)
合同会社 ちどり | |
募集職種 | ⑴ 調理師 店舗運営
⑵ ホール 調理補助 |
雇用形態 | ⑴ 正社員
⑵ パート アルバイト |
給与 | ⑴ 正社員 月給200,000〜 (経験・能力により応相談)
⑵ パート アルバイト 時給900円〜 |
福利厚生 | ・ 健康保険、雇用保険加入
・ 厚生年金加入 ・ 社宅完備 |
仕事内容 | ・ 飲食業務全般 企画運営
・ 出前 仕出し料理 ・ 仕入れ 店舗管理 |
勤務地 | 千葉県南房総市 |
勤務時間 | ⑴ 正社員 11:00〜20:00 (シフトにより概ね8時間勤務、休憩1時間)
⑵ パート アルバイト 8:00〜24:00 (シフト制 3時間以上) |
休日休暇 | 不定休 交代制 |
応募資格 | 普通自動車免許所有者 |
求める人物像 | ・ 新しいことが好きな人、柔軟な発想を持った人
・ 飲食店、和食店に興味のある人 |
募集期間 | 2018/3/14〜決まるまで |
採用予定人数 | 若干名 |
選考プロセス | メールかFacebookメッセンジャーで連絡
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